ノマドワークがしたいから、フリーランスなのではない

ノマドワークがしたいから、フリーランスなのではない

ノマドワークってなんだか楽しそう。仕事を辞めたい。簡単に稼げるならそっちがいい。そんな考え方で、定職に就くことをあきらめたり、ずっとフリーター(アルバイトのみ)の生活を続ける人が増えている。

どうもノマドどいう言葉が先行しすぎて、間違った認識が広がっている気がする。そもそも自由で稼げる簡単な方法というものは存在しない。あったとしても、それはすごい努力や経験を積み上げて構成された能力やセンスから優位性を獲得して、簡単に稼いでいるように見えるだけだ。

ノマド(Nomad)というのは遊牧民という言葉て合って、一定の場所にとどまっているわけではなく、場所にとらわれず自分のいるところで仕事をするスタイルの事である。そして、この働き方ができるのは、仕事が自分で出来る人だけである。

大事なのは、以下の点。

・自分の能力に価値を見出して、自分でお金に変換できる事

・自分で予定を組み立てて、その通りに仕事ができる人

・楽観的に、でも将来を見据えて動くことを止めない人

これらが、出来ない人はノマドワークに向いていないと言えるので、会社で働くことを止めない方がいいと思う。繰り返すようだが、ノマドワークとは働き方のスタンスである。

自分がノマドワークに向いているか、まず上記の3点を考えてみるといいと思う。

自分の能力に価値を見出して、自分でお金に変換できる事

この形を実現するには、会社がリモートワーク(社外で仕事をする事)を認めていない場合、独立する必要がある。フリーランスになる、または起業する必要があるという事だ。

フリーランスとは、特定の企業や団体つまり会社に属さずに個人で仕事をする人の事である。客は自分個人に仕事を振って、その対価としてお金をもらうのだ。起業する場合は、もう少し規模が大きくて、他の人を雇って自分が人を使う側になる必要がある。

どちらにしても、売りになる、つまり人が持っていない技術や能力が必要になる。例えば、文章が書ける(ライター)、外国語が話せる(通訳、翻訳)、絵が描ける(イラストレーター)、プログラムが作れる(プログラマー)、何かを教えられる(講師)などである。これらの能力は、他の人が自分でやろうとすると大変で、時間とお金がかかるが、自分が行うと楽しく短時間で高品質なものが提供できる場合を指す。

いきなり企業から仕事をもらう事は難しいので、クラウドワークスやランサーズなどに登録して、案件をこなすことで実績を積むこともできる。実績を積めば、代行会社を通さずに直接自分で受注することができる。案件を受注できない、受注してもうまく稼げないという場合は、そもそもやり方が間違っている可能性があるので、Youtube、ノウハウの有料ノートなどを使って、一から組み立てなおした方が良いだろう。

私の場合は、システムエンジニアの経験を生かして、ソフトウェア制作やインフラの管理などを受注している。また、言語能力を生かしてオンラインスクールなどを行っている。

自分で予定を組み立てて、その通りに仕事ができる人

会社に属さないという事は、しがらみから解放される自由とともに、とんでもない危険性も得ることになる。誰も自分にムチを打ってくれないからだ。自分が働かなければ収入は入らないし、仕事をしなければお客も離れていく。負の連鎖になってしまう。

規則正しい生活をして、だらけてしまう自分をコントロールする必要がある。世の中には時間をつぶせるものが山ほどあるので、それを振り捨てて自分を仕事に向かわせる必要がある。

フリーランスの人の大抵は収入がものすごいあるわけではない。それで、住居以外に家賃のかかるオフィスを借りないし、お金がかかるカフェにもあまり行かない。そうなると、自宅や自分が滞在している場所で仕事をすることになる。

寝起きも、食事も、仕事もすべて自分の部屋で行うことになるので、オンとオフを切り替えるための術をもっている必要がある。ある人は服を着替えたり、通勤と称して家の周りを散歩する。どうしても、自宅で作業がはかどらない人は、図書館やカフェに出かける羽目になる。

どちらにせよ、仕事をプライベートを自分で管理できるようにならなければ、お金はなくなっていき破滅する。

私の場合は、今のところ貯金は底をついてはいないが、じり貧になってきている。そのため、仕事の時間をもう少し増やす必要があると感じている。

楽観的に、でも将来を見据えて動くことを止めない人

悩んでいても何も始まらない。もし、自分にある程度能力があって、自分をそれなりにコントロールできるのであれば、行動に移すべきだ。

でも、そのためには自分を突き動かす理由が必要である。例えば、私にはネパールに住み続けたい理由があるからだ。人々とコミュニケーションを取り、ボランティアをして人を助けることだ。多くの人から感謝されるので、まだまだ続けたいという気持ちになる。会社に属さず、自分の住みたいところに住んでいる理由だ。

アジアに住みたい、あの国には自分の好きな何かがある、Youtubeのネタの宝庫のあの国に行きたいなど、何でも構わない。仕事は衣食住を得るためのツールに過ぎない。将来もその状態で生活するか、日本に戻って定住するか、それは自分で将来設計をしなければならない。

それでも、考えているだけで行動に移さなければ、人にそのチャンスを奪われてしまう。また、自分のやる気も下がっていってしまう。世の中は常にいい方に進むわけではないので、「最悪の方に進んでも何とかなる」くらいの気持ちでなければやっていけない。

私も将来に不安はあるし、親が年を取ってきているので今後何年この生活を続けられるか分からない。それでも、この生活方法は自分を成長させることができるし、学ぶことがたくさんある。多くの経験も得られる。

高卒で8年会社で働いたときは、いろいろ得た気になったが、仕事のスキルが身に付いただけだった。多くの人と混じって生活するので、それなりに対人スキルも身に付く。それでも、ネパールに移ると決めてからのここ数年で得たものは、その何倍も自分を豊かにしていると感じている。得たものは考え方と行動力と生き方だ。

ノマドワークは今するべきなのか?

ノマドワークがしたいからというのが理由であれば、しない方が良いと思う。最初の述べたように、これは仕事をする方法の一つに過ぎない。自分の働く手段を自分で運営出来て、それで最低限の生活ができる人が、自分のいたいところを自分で決めるだけの話だからだ。

もし、この記事で考えた3点ができないのであれば、長期休暇でも取って、パックではない自分独自の海外旅行をしてみて、世界を見てみればよいと思う。それで、会社を離れてもやっていける、こんなところで生活したい、という強い思いが生まれれば、スキルを磨きながら準備をすればよいだろう。

そうでなければ、まともな会社で働き続けた方がよっぽど健全である。

大前提として、思ったことをすぐに写せる行動力が無ければ、ノマドワークだけでなく、何も始めることはできないと思う。まずは自分なりのやる気を起こす補法を探ってみてはどうだろうか。

自分はお金を稼ぐ以外にしたいことがあるので、生活の手段としてノマドワークを行っている。あなたはノマドワークをする必要がありますか?